寝屋川リノベーションハウス・プロジェクト
摂南大学 理工学部 建築学科 都市文化共生デザイン研究室
本学寝屋川キャンパスからほど近い一軒家(大阪府寝屋川市豊里町)を学生向けにフルリノベーションしたシェアハウスが2022年4月に竣工しました。
もともとは、木造二階建ての古家(昭和46年/1971年竣工、延べ床約80㎡)の空き家でした。
昭和40年代の何気ない木造住宅ですが、町並みに溶け込んだボリュームや屋根形状、外構や道路と建物の関係は、この場所で継承される風景の要素であり続けると考えました。将来的に近隣住民同士の関係を作っていく場にするにはどうすれば良いかを検討しました。クライアント様からも、将来1階部分をカフェとして利用できる可能性を残したいというご要望もあり、玄関部分を広い土間とし、居住者や来客が懇談できる場を用意しました。ここは「玄関土間リビング」と称し、日本の家屋から消えつつある「縁側」空間として機能し続けていくことを望んでいます。
基礎、はりや柱、階段や収納など使える素材は残して解体したのち、耐震改修を行い、1階部分はすべてコモンスペースとしており、広いダイニングキッチン、玄関土間リビング、水回りからなり、2階部分は4部屋ともロフト付きの個室からなるプライベートゾーンとしています。
実際に建つ建築設計を考える取り組みというのはなかなか機会があるわけではなく、研究室にとっても貴重な経験となったプロジェクトでした。本プロジェクトは下記の構成によるチーム体制で取り組んだものです。
【基本計画・基本設計】加嶋研究室学生
【実施設計】kt一級建築士事務所(山隈直人・岩田大史)/一級建築士事務所西村設計(西村望)
【施工】有限会社アスペック(代表・奥田益巨)
■摂南大学理工学部建築学科 加嶋研究室 リノベーション・プロジェクト・メンバー
2021〜2022年度(解体工事、外構、家具、模型、編集、映像)
井上舞香/榎本来真/黒田健太郎/小傳茂友貴/米田朱里/佐藤快斗/東賢太郎/中西立龍/樋口拓真
2020〜2021年度 (基本設計、家具、模型)
井上友希/高杉優磨/樋口拓真/彦井麻菜/廣田優斗/吉宗大輝/
2019〜2021年度 (基本構想、基本計画、基本設計)
天野愛希/岩沖巧巳/大田詩織/木村駿里/櫻井隆史/西紗也香/三代隆誠/森貞剛志/山本喬愛
■建物概要
【 室 構 成 】 〔共有〕 LDK/土間玄関/洗面脱衣室/風呂/トイレ/外構(駐輪駐車)
〔個室〕 4部屋(四畳半)
【 場 所 】 〒572-0071 大阪府寝屋川市豊里町
【構造形式】 既存物件の構法=在来軸組工法(1971年竣工)
(構造)木造二階建て
(基礎)既存無筋コンクリート布基礎に鉄筋コンクリート基礎増し打ち
【 規 模】
敷地:85.31㎡
軒高高さ:7.640m
軒高:6.440m
建築面積:42.23㎡(12.8坪)
建ぺい率:49.50%
延床面積=74.49㎡(24.0坪)
1階=42.23㎡(12.8坪)
2階=37.26㎡(11.2坪)
容積率: 93.18%
階 高: 1階:2.86m、2階:2.83m
【 仕上げ 】
〈屋根〉 カラーガルバリウム鋼板t0.4 縦ハゼ葺き
〈外壁〉 上部(既存外壁): アクリル樹脂塗装 / 下部:ガルバリウム鋼板 t0.35mm
〈天井〉 ケイカル板t6
〈床〉構造用合板t24
〈壁〉構造用合板t12
〈土間〉コンクリート+防塵塗装(クリア)